危険物倉庫とは文字通り「危険物」を保管するための倉庫です。
なお、危険物についての解釈や定義は色々とありますが、消防法によって「危険物」として定められている対象物を保管する施設は「屋内貯蔵所」と呼ばれ、一般的に「危険物倉庫」として呼ばれます。
消防法における危険物は、通常の状態で保管したり放置したりすると引火・発火のリスクがあり、火災や爆発、中毒事故といった災害の要因になり得るものとして考えられます。身近な所では自動車のガソリンなどが危険物に該当し、日常にも様々な危険物が存在していることを理解しておきましょう。
危険物について定めている法律は「消防法第2条第7項」です。ここでは「第1類 酸化性固体」や「第2類 可燃性固体」、「第3類 自然発火性物質および禁水性物質」など複数の危険物がジャンルや性質ごとに第1~第6までが分類されており、それぞれの特性や条件に応じた保管環境を構築しなければなりません。
もし適切な環境で危険物を保管しなかった場合、危険物に引火したり爆発したりするだけでなく、危険物が燃えて発生したガスによって中毒症状が拡散されるなど、連鎖的にリスクが拡大していきます。そのため、危険物の管理は厳格にし、また法律によって定められている管理者や有資格者、倉庫や施設における火元責任者などを定めることも必要です。
危険物の内容や種類について法律で細かく区分・指定されているように、危険物を保管するための危険物倉庫に関しても法律で条件が定められています。
危険物倉庫における法定基準には、建物の構造に関する基準や、各種設備に関する基準、また危険物倉庫を設置する位置環境など複数の項目が存在しており、それらの全てについて適切に準備することが不可欠です。
構造基準には軒高(6m未満の平屋)や床面積(1千㎡以下)といった項目があり、また壁や梁、床について耐火構造を有しているなどの条件が指定されています。
避雷針の設置や蒸気排出設備の設置、採光の確保など設備に関する基準も無視できません。
危険物倉庫はそもそも建設できる場所が指定されており、保管品(保安対象物)ごとに保安距離を確保しなければならないといった基準があります。
危険物を安全に保管するための危険物倉庫(法令上は「屋内貯蔵所」と呼ばれます)を建設・運用するには、複数の法律を遵守する必要があります。普通の倉庫と同じ感覚で建設することはできず、事前の周到な計画が不可欠です。
危険物倉庫の基準を定める最も重要な法律が消防法です。消防法では、火災の発生や拡大の危険性が高い物質を第1類から第6類までの6つの性質に分類しています。
また、それぞれの危険物には、これ以上の量を保管する場合は厳格な規制の対象となる指定数量が定められています。保管したい危険物の種類と数量によって、求められる設備や対応が大きく変わるため、まずは自社が扱う物品の分類と指定数量を正確に把握することが第一歩となります。
| 危険物の分類 | 性質 | 代表的な物品の例 |
|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体 | 塩素酸塩類、過酸化カリウムなど |
| 第2類 | 可燃性固体 | 硫黄、鉄粉、引火性固体など |
| 第3類 | 自然発火性物質および禁水性物質 | カリウム、ナトリウム、黄リンなど |
| 第4類 | 引火性液体 | ガソリン、灯油、軽油、アルコール類など |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 有機過酸化物、硝酸エステル類など |
| 第6類 | 酸化性液体 | 過酸化水素、硝酸など |
危険物倉庫は、消防法だけでなく都市計画法や建築基準法の制限も受けます。特に注意すべきなのが「用途地域」の制限です。
都市計画法において、住居専用地域や商業地域などには危険物倉庫を建設することが原則としてできません。建設が認められているのは、主に工業地域、工業専用地域、および一定の条件を満たした準工業地域などに限られます。そのため、希望する土地にそもそも危険物倉庫を建てられるのか、事前の用途地域の確認が必須となります。
関連法令をクリアした上で、実際に建物を設計する際にも細かなルールが定められています。危険物倉庫における法定基準は大きく分けて「位置」「構造」「設備」の3つに分類されます。
危険物倉庫は、周囲の施設や建物への延焼を防ぐため、建設する位置に厳格な基準が設けられています。代表的なものが保安距離と保有空地です。
保安距離とは、住宅や学校、病院といった保安対象物から一定の距離を離さなければならないというルールのことです。また、保有空地とは、倉庫の周囲に消防活動のスペースや延焼防止のための空き地(一定の幅)を確保する義務を指します。敷地いっぱいに建物を建てることはできないため、余裕を持った土地選びが求められます。
一般的な危険物倉庫は、原則として軒高6m未満の平屋建てとし、床面積は1,000平方メートル以下に収める必要があります。しかし、自動倉庫(ラック式の屋内貯蔵所)として申請し、自動火災報知設備やスプリンクラー設備などの一定の条件を満たす場合は、特例として高さ20mまで建設することが可能です。限られた敷地で保管効率を最大化したい企業にとって、この自動倉庫の特例は非常に大きなメリットとなります。
また、壁や柱、床には耐火構造または不燃材料を使用することが義務付けられています。さらに、万が一の爆発時に爆風を上方に逃がして周囲への被害を抑えるため、原則として屋根には軽量な不燃材料(金属板など)を使用し、天井を設けない構造にする必要があります。
倉庫内の安全を保つための設備基準も多岐にわたります。可燃性の蒸気が滞留する恐れがある場合は、屋根上に蒸気排出設備を設ける必要があります。
その他にも、引火を避けるための十分な採光・照明設備の確保、保管する危険物に適した消火設備の設置が求められます。また、指定数量の倍数が10以上の場合は、落雷による火災を防ぐための避雷設備の設置も必須となります。
危険物倉庫を新設する場合、一般的な建築確認申請に加えて、消防法に基づく許可申請手続きが必要になります。非常に専門的で審査にも時間がかかるため、余裕を持ったスケジュール管理が成功の鍵となります。
図面を作成する初期の設計段階で、管轄の消防署へ事前相談を行うことが最も重要です。自治体や所轄の消防によって指導内容や見解が微妙に異なるケースがあるため、自己判断で設計を進めず、早い段階で消防の担当者と協議を重ねて計画のすり合わせを行います。
計画が固まったら、詳細な設計図書や仕様書などの必要書類を揃え、市町村長等(実際の窓口は管轄の消防署)へ製造所等設置許可申請を提出します。申請が受理された後、法令の基準に適合しているかの厳正な審査が行われます。審査期間は自治体や規模によって異なりますが、数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。
無事に「設置許可」が下りてから、初めて着工(工事開始)することができます。許可が下りる前に工事を始めることは法律で禁じられているため注意が必要です。
工事が完了した後もすぐに運用できるわけではありません。消防による完成検査を受け、設計図通りに基準を満たして建設されているかを確認されます。この検査に合格し、完成検査済証が交付されて初めて、危険物倉庫としての運用(危険物の搬入)が可能になります。
危険物を取り扱う倉庫での作業は、労働環境的にも決して良いとはいえず、心身共に大きな負荷がかかります。そうした労働環境をシステム化することは、会社を動かす人材を守るだけでなく、人手不足の解消やコンピューター管理でミスも減るといった作業効率の向上にもつながります。
システム化と聞くと難しいイメージがありますが、操作性もよく考えられているものがほとんど。誰もが操作できる、単純で易しい仕様がほとんどなので、その導入も難しくありません。
昭永ケミカル株式会社は、塗料・インキ・樹脂・電子材料などの業界から受託する約45000種類の製品を、25万トンの設備能力により、全国に展開する7工場にて製造・出荷されています。
新しい生産ラインと徹底した品質管理を実施されているなか、製品保管として危険物自動倉庫を採用されました。
IHIは危険物用自動倉庫の実績が多く、安心して施工を任せることができました。
限られた敷地内において省スペースで建設が可能な点、施工期間が短い点がIHIに決めた理由です。
経験豊富な技術者がおり、危険物倉庫建設時に必要となる消防との折衝も大いにサポート頂けました。
危険物自動倉庫は、保管量約1,000トン、内訳は概略、グリセリン650トン、エポキシ樹脂300~500トンとなっています。
通常、商品7:原料3くらいの比率で保管しています。
入出庫量は平均1日当り50トン、ピーク時で100トンを行っています。
4台車、格納数480パレットの防爆仕様移動ラック導入により限られた保管スペースを最大限に有効活用しています。
同支店では当初、運営・管理コストを抑えるため、粉剤・粒剤・液剤農薬などの化学薬品を1カ所の既設倉庫へまとめて保管する計画でした。
しかし、キシレンなどの有機溶剤を加えた液剤農薬は第4種危険物に該当。法律上、他の商品と一緒に保管できず、急きょ、石油製品専用の倉庫を設けることになりました。
多種多様な危険物の取扱倉庫があり、自社に適した状態に合わせてカスタマイズできる自由度の高さもあります。免震構造の自動倉庫にすることで生産体制が向上したり、幅広く流通網を広げられたなど、生産性が飛躍的にアップした事例も少なくありません。また、業務効率化や人員の安全性、ミスのない疲れ知らずの稼働率と、多様な面での改善効果が期待できます。
西部電機は自動倉庫に関する設計部門や品質管理部門、サービス部門などが一丸となって自社一貫体制によるアフターサポートを提供しています。自動倉庫の運用や危険物の管理を安全かつ正確に続ける上で、システム障害などのリスクを無視することはできません。
西部電機では提案・購入からメンテナンス・サポートまでワンストップサービスとして提供されているため、万が一の際にも迅速に対処して、被害が拡大することを予防できます。
IHI物流産業システムではクライアントのニーズに応じてオーダーメイドの自動倉庫を提供しています。特許も取得している独自技術をベースとして、目的の取扱品に合わせてプランニングを行ってもらえるため、慎重かつ安全な作業が求められる危険物の保管などについてもしっかりと対応してもらえることが特徴です。
システム構築や自動倉庫の施工だけでなく、導入した設備について業務フローへ組み込むことも自社一貫体制でサポートしてもらえます。
住友重機械搬送システムでは多種多様な保管品や倉庫の規模に合わせて、適切な自動倉庫プランを提案してもらえます。コンピューターによってシステム化された在庫管理は、ヒューマンエラーによる管理ミスを予防し、危険物に関連した様々な事故リスクから作業員を守ってくれることも重要です。
指定可燃物倉庫や爆発物倉庫、引火性危険物(防爆)倉庫といった自動倉庫の実績も有しており、ニーズに応じて倉庫をデザイニングしてくれます。
医薬品業界や石油化学工業など、毒物や劇物、危険物といった取扱品を保管する自動倉庫にも幅広く対応できるのが強みです。パレット自動倉庫やビル式自動倉庫、ケース自動倉庫など複数の自動倉庫を用意しており、クライアントのニーズや目的に合わせて選択することができます。
倉庫の設計から施工、導入後のメンテナンスまで一貫して自社対応しており、導入前のプランニングはもちろん導入後のトラブルに対しても迅速にサポートしてもらえることが魅力です。
物流業界において、1937年の設立から85年間にわたって実績を積み重ねてきた老舗企業であり、少量保管から高度なシステム管理まで幅広いニーズに対応できる自動倉庫「キャスパック」を提供しています。パレットタイプやバケットタイプ、マイナス30度対応の冷蔵庫タイプなど複数のタイプが取りそろえられており、特に危険物倉庫へ適応するタイプとしてはd2G4合格品である「防爆タイプ」が用意されていることもポイントです。
1935年に創業されて以来、90年近くにわたって物流システムや倉庫システムなどを開発・提供してきました。1971年に防爆式自動倉庫を初めて納入して以降、危険物保管ソリューションについても様々な実績を有していることは見逃せません。
建築一体型ビル式自動倉庫について自社の一級建築士が設計を監修し、耐火被覆や防爆検定合格品の選定といった作業を含めて、消防法や関連法規制に適合した危険物自動倉庫をプランニングしてもらえます。
危険物自動倉庫を導入したり、既存の危険物倉庫へ自動化システムを導入したりすることによって、まず万が一の際に従業員が事故に巻き込まれるリスクを低減することができます。また、コンピュータが24時間365日体制で倉庫内や保管品の状態をモニターしており、異常が発生する際にも速やかに検知したり、あるいは異常が発生する前段階で対処できたりといったことも期待できるでしょう。
また、そもそも自動倉庫システムは倉庫作業の効率化や自動化を促進させるものであり、日常業務全体の効率化を進めていけることもメリットです。
その他、必要最低限の人材配置によって業務を行っていけるようになり、人件費などのランニングコストを見直すこともできます。
危険物倉庫や危険物自動倉庫は、些細なミスや思わぬエラーが原因で重大な事故を引き起こしかねない対象物を保管するための設備であり、倉庫の品質や安全への信頼性は導入メリットを考える上で絶対的に無視できないものです。
そのため、危険物自動倉庫を建設したりシステムを導入したりする場合、必ずそれぞれの自動倉庫メーカーの実績や製品の内容などを確認し、本当に危険物自動倉庫として信用できるのか、またその後のメンテナンスなどの管理まで末永く対応してくれるのか、細かくチェックしておきます。
なお、もしも異常が発生した際にはどのようなサポートやフォローをしてもらえるのか、サービス面についても確認しておきましょう。
危険物の取扱いと保管は、できる限り人手ではなく、機械にまかせたほうが、事故の防止となります。
危険物の保管に関する自動倉庫は、豊富な知識と経験を持つメーカーに依頼しましょう。
引用元:西部電機公式HP
https://www.seibudenki.co.jp/
引用元:ダイフク公式HP
https://www.daifuku.com/jp/
引用元:村田機械公式HP
https://www.muratec.jp/
※Googleで「自動倉庫」または「自動倉庫 メーカー」と検索した結果から、自動倉庫システムの提供事業を営んでいる42の会社を調査。導入実績の掲載が公式HPにある14社をピックアップ。その中から下記の条件で3社を選出。(調査日:2024年2月22日)
西部電機:調査した会社の中で特殊仕様に合わせたクレーン数が最多。目的に合わせて自由にカスタマイズ可能
ダイフク:物流配送の導入事例数が最も多く、マテリアルハンドリング業界で売上高世界1 位(2024年2月時点)
参照元:ダイフク公式HP(https://www.daifuku.com/jp/company/news/2023/0516_01/)
村田機械:調査した会社の中で半導体製造において唯一クリーンルームの製造から管理配送までワンストップで対応
※1 参照元:西部電機マテリアルハンドリングシステム