2011年に発生した東日本大震災以降、BCPという言葉が注目されています。倉庫を管理するにあたり知っておきたいBCPとは、一体どのようなものなのでしょうか。対策方法とともに紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
BCPとは「Business Continuity Plan」の略称で、「事業継続計画」という意味を持ちます。その名の通り、企業に何等かの緊急事態が発生した際でも事業を継続し、損害の最小化と早期復旧を目的としているのが特徴です。
ここで言う緊急事態とは、自然災害や大規模停電、ウイルスなどによる国民活動の抑制などを指します。内閣府は2005年からBCP策定の積極的な推奨を実施しており、東日本大震災があった2011年からBCP対策が本格化しました。
BCPと間違えやすい対策として、「DR対策」というものがあります。これは「Disaster Recovery」の頭文字を取った言葉で、日本語の意味は「災害復旧」です。BCPは事業継続、DRは災害復旧を目的とした対策であるという違いがあります。
DR対策の「復旧」は、主にシステム障害を対象としており、自然災害によるシステム障害や通信障害に対するリカバリー対策を担っているのです。より具体的な対策内容として、クラウド上に各種データをバックアップする、データセンターへのバックアップデータの分散、無停電電源装置の確保などが挙げられるでしょう。
2011年に起こった東日本大震災では、経済活動の抑制によって被災した事業者をはじめ、たくさんの企業が倒産の危機に陥りました。物流に関しては、通信障害やシステム障害が発生したので、被害の状況を確認するのにかなりの時間がかかり、オペレーションがうまくいかなかった経緯があります。そのため、事業再開にも必要以上の時間がかかってしまうなど、実務に影響があったケースも。荷主の倒産や経営環境の悪化による取引停止など、地震を影響とした二次災害も多く見られました。
このような事態に直面しても国民の血液と例えられる物流事業を継続する、そのためにあらかじめ事業継続を目的に掲げるBCP対策を立てておくのは、とても重要なことだと言えます。
近年では、科学技術の進歩にともない、工場などの自動化が進んでいます。倉庫も例外ではなく、自動式のものが広く普及しているでしょう。これは一見してとても便利ですが、自動倉庫は一般倉庫とは異なる耐震対策を行わなければなりません。
なぜなら、自動倉庫は荷物の搬入から運搬、搬出までをすべてオートマチックに行うからです。もしもしっかりとした耐震補強を施していなければ、地震による揺れが原因で、庫内の荷物を破損・紛失してしまう恐れがあります。大切な荷物を災害から守るためにも、自動倉庫を導入する際は耐震性に注目して選ぶようにしましょう。
BCPは緊急事態が発生した際に素早く対応するための対策です。そのため、自然災害・システム障害といったあらゆる緊急事態において、「事業を継続できない」という心配がなく、損害の最小化を図ることができます。
一方で、BCP対策を行っていない場合は、対応が限定的になってしまうため、経営が傾いてしまう可能性があるでしょう。そういった意味で、事前に対策を講じておくのは、企業によって非常に大きなメリットだと言えます。
緊急事態でもしっかりと事業を継続するためには、すべての業務における優先順位を知っておく必要があります。BCP対策では、優先しなければならない業務の選別をチェックしたうえで対応策を決めることが可能です。
また、対策を考える際には、優先するプロセスを見直すので、中長期的な経営戦略を洗い直す機会にもなるでしょう。BCP対策は優先業務の可視化だけでなく、自社のウィークポイントを見つめ直すきっかけにもなるのです。
物流事業は、緊急事態発生時に生活基盤を支える重要な役割を担います。迅速に業務を回復しさせることは、事業継続はもちろん社会的責任を果たすという面でも重要です。特に緊急事態発生時は、緊急物資の輸送など物流事業者への需要は高まるため、業務の早期復旧は物流混乱を防ぐことができるうえ、地域貢献に寄与することもできるといっても過言ではありません。
緊急事態が起きた時に何も対応策を講じていない場合、ことによっては事業の継続が困難になってしまう可能性があります。その反面、BCP対策をしっかりと実施している企業であれば、事前に危機管理を行っているのでリスクを最小限に抑えられるでしょう。
BCP対策を行っている企業は、対策をしていない企業と比べて信頼度が上がるため、各取引先にとっても信頼できる企業かどうかの選定ポイントとなります。
自動倉庫の導入を考えている人の中には、「BCP対策の重要性は知っているけれど、どのような対応策があるのかわからない」と思っている方もいるかもしれません。ここからは、BCP対策における具体的な対応策を紹介していきます。
物流倉庫のオートマチック化により、ワンパワーを利用した作業よりもマシンによる自動化が広がりつつあります。また、倉庫内の管理だけでなく在庫管理もIT化が進み、人員による管理は減少傾向にあるでしょう。
しかし、すべてのプロセスで必須となる電力は、緊急事態によって供給が停止するリスクを抱えています。対応策として非常用自家発電設備を設置しておけば、万が一の事態が発生しても電力の供給がストップする心配がありません。
急な送電停止や電力トラブルが発生すると、場合によってはシステムがシャットダウンするなどのリスクがあります。たった数秒の電力障害であっても業務遂行のうえで大きなリスクになるため、BCP対策は非常に重要だと言えるでしょう。
この場合の対応策には、UPS(無停電電源装置)の導入が有効です。突然の電力障害でも電源が切れてしまうトラブルを回避でき、システム障害のリスクを減らせます。
IT化が普及している昨今では、ITシステムを活用した業務が基本となっています。とはいえ、ITシステムをメインとしている企業では、緊急時のシステム障害は大きなリスクとなるので、トラブルを最小限に抑える施策を講じておかなければなりません。
BCP対策では、WMS(倉庫管理システム)などを使ってシステム運用のクラウド化を実施し、データが消えてしまうリスクを低減します。
物流において倉庫業務は、地震をはじめとしたあらゆる自然災害のリスクに対し、どう対応するかが非常に重要となります。そのため、BCPを策定して、いざという時にも素早く対応できるよう備えておきましょう。
また、BCP対策を行っておくことで企業の信頼獲得ができるほか、自社の強みと弱みを再認識することも可能です。業務面以外にもメリットがある施策なので、まだ実施していない場合や実施するか悩んでいる場合は、なるべく早くBCP対策を行うのをおすすめします。
引用元:西部電機公式HP
https://www.seibudenki.co.jp/
引用元:ダイフク公式HP
https://www.daifuku.com/jp/
引用元:村田機械公式HP
https://www.muratec.jp/
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参照元:ダイフク公式HP(https://www.daifuku.com/jp/company/news/2023/0516_01/)
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※1 参照元:西部電機マテリアルハンドリングシステム